「あれ? 水野先生、どうしたんですか?」


わたしを見て驚く涼子ちゃんに、

「俺が誘ってん」

と得意げな栗島くん。


わたしはぎこちない笑いを浮かべ、テーブルのそばまで歩く。


「なんか、急におじゃましてごめんね」

「いやいや大歓迎ですよ。ねっ、瑠衣」


その言葉にうなずいた瑠衣と、目が合った。

……胸が、ざわつく。


瑠衣はとなりの椅子の上に置いていた鞄を持ち上げて、ドサッと床におろした。

そして空いた椅子を手のひらでポンポンと叩き、


「はい。先生の席」


そう言って、上目づかいでわたしに微笑んだ。


「ありがとう……」

「俺、ドリンクのお代わりに行くから、ついでに先生の分も買ってきますよ」