わたしたちは近くのファミリーレストランに入った。

こんな夜中になんでファミレスなんだ、と憂鬱な気分になったけれど、お酒の飲めない未成年が一緒なのだから仕方ない。


「で。さっきのこと説明してくれる?」


いつまでも黙ったままの瑠衣にわたしは言った。

彼はアイスティーに浮かんだ薄切りレモンをストローの先でつつきながら、ぽつぽつ話し始めた。


「俺の女友達が、前に山崎と付き合ってたんですけど……」

「それは予備校の生徒?」

「あ、はい。俺のひとつ上の女の子で、以前あの予備校に通ってたんです。
そこで山崎と知り合って、でも山崎にとってはただの遊びで」

「捨てられちゃったんだ?」


瑠衣は思いつめた表情でうなずいた。


「山崎って、奥さんも子供もいるくせに最悪ですよね。
俺、友達からその話を打ち明けられたとき、ほんまムカついて。

山崎に文句言いに行こうと思ったんすけど、それだけはやめてくれって止められて……。

結局その子は予備校やめたのに、あいつの方はまったく気にもしてないってゆうか」