行為が終わると、山崎は急にそわそわと目線を泳がせ始めた。


「帰りたいん?」


ベッドにうつぶせになったまま訊いたわたしに、彼は気まずそうな顔でうなずいた。


「実は昨日から娘が熱出してて、あんまり遅くなられへんねん」

「そう。じゃあ早く帰ってあげなよ」

「君は?」

「シャワー浴びたいし、もう少しゆっくりしてから帰る」


わたしはごろんと体を転がし上を向いた。

天井には、暗闇で光る素材の星型シール。

趣味の悪さにぞっとした。


ベッドの脇に手を伸ばし、山崎のタバコケースから一本取り出して火をつける。


彼の方はすでに服を着て、ネクタイを締めながらわたしを見下ろした。


「君ってさあ、本命の彼氏とか作る気ないん?」

「は? 何、いきなり」


思わず吹き出すと、顔の前が煙で真っ白になった。