わたしはすっかり冷えきった体を、いつまでも寒空の下に置いていた。

息を吐くと、さっきよりも白かった。



見上げれば、細くちぎれた雲が浮かぶ、冬の夜空。


もしもいつか、瑠衣に会えなくなったとき……思い出すのは、きっとこんな空なんだろう。



――『虹を見たいなら、雨を我慢しなくちゃいけないんですよ』


 
瑠衣。

わたしも少しは、虹を信じられるようになったかな。


だけどもしも叶うなら、

雨上がりの青空じゃなく、真っ暗な夜空に虹をかけたかったんだ。




わたしたち以外の誰にも見つからないように。