美空の問いに、あたしがそう答えると、美空は眉を下げてまた不安そうにする。


「スリッパ……また皆に変な目で見られちゃうね」


「そんなことないよ。上履き忘れちゃっただけの人だってスリッパ借りるわけだし、今日みたいに上履きで帰るよりは全然普通だと思うけど……」


平然と言ってのけるあたしだったけど、美空はあまり良い返事をしない。


「でも、今日のことを見てる人とか私たちがいじめられてることを知ってる人とかは、確実にそういう目で見てくるよ……」


「そりゃそうかもしれないけど……深く考え過ぎだよ」


ていうか、そう思うようにしないと、明日も学校へ行くことなんてできない。


あたしは少しでも美空が気にしなくて済むようなことを言ってみるけど、美空は依然として浮かない表情のままだ。


テストは明日まである。休むわけにはいかない。


「大丈夫だって!美空、気持ちだけでも明るくしておかないとしんどいよ?」


「それは……わかってるんだけど……」


必死で励まそうとしているのに、いつまでもウジウジとしている美空に、あたしは少しだけイラッとしてしまったのかもしれない。


「あのさ、美空。確かに恥ずかしいかもしれないけど、あたし達は別に悪いことしてないんだから、もっと堂々としていればいいんだよ。そうやってビクビクしてると、あいつらが楽しんでもっといじめがひどくなるだけなんだから」