「美空、あたしも上履きで帰るよ!」



そう言って履き替えようとしていた運動靴を下駄箱に戻すあたしに、美空が「ええっ!?」と声を上げる。


「ななな、何で蒼唯ちゃんまで?」


「何でって、お揃いだったら恥ずかしくないでしょ?」


目を丸くする美空に、あたしは当然のように答えたけど、上履きのまま外へ出ようとするあたしを美空は慌てて止める。


「そんな!蒼唯ちゃんまでそんなになる必要ないよ!私は大丈夫だから!気持ちだけ有り難く受け取らせて頂きます!」


あたしをそのまま外へ行かせまいと、美空が後ろから腕を引っ張り続ける。
だけど、あたしだって負けていられない。


「いーいーかーらー!あたしが美空とお揃いがいいのー!」


「でーもー!」


後ろに引っ張る美空に対して、あたしはそれを振りほどき歩き出そうと試みる。
さすがに疲れてしまったあたしは、美空のほうを振り返って言った。


「美空はっ、あたしとお揃い嫌なの!?」


それを聞いた美空は力を緩めて、困った顔をしながらも首を横に振る。


「蒼唯ちゃんって、結構強引なんだね」


それから少し不満そうに頬を膨らませて言った美空。


あたしは「ごめんね」と軽く謝りながら、このやり取りが本当に友達になったんだと実感して嬉しくなり、思わず顔が綻んでしまうのだった。