「碧がいっぱい勇気をくれたおかげだよ」
あたしも釣られてにこにこしながらそう返したけど、碧は首を横に振った。
「違うよ、頑張ったのは蒼唯だよ」
碧はふんわりと笑って「えらいえらい」とあたしの頭を撫でる。
「でも……まだいじめは続きそうだね……」
あたしの頭を撫でる手が止まる。
顔を上げると、碧はつらそうに眉間にしわを寄せていた。
「でも、もう大丈夫だよ。美空と一緒なら耐えられるし、澤田先生も気にかけてくれてるし、それに……」
あたしは言葉を区切り、碧にぎゅっと抱きついてから素直な気持ちを伝えた。
「それに、学校が終われば、碧に会えるから」
美空と友達になれたことや、お母さんや澤田先生の理解があることはもちろん嬉しい。
でも、あたしにとってそれよりも一番支えになっているのは、どんなにつらいことがあってもここに来れば碧がいて、何があっても碧があたしの味方でいてくれるということだった。
「碧がいてくれなかったらあたしはこうして生きていなかったし、前に進むこともできなかった」
だからやっぱり、碧にはありがとうという言葉しかない。
感謝してもしきれない。だからこそ、せめてこの恩を精一杯返していきたいと思ってる。