あ、これよくテレビのドラマとか見たやつだ。
たぶんこの次、水を上からかけられる。
そう思った通り、上から使用済みの雑巾をしぼったあとであろう汚い水が降ってきた。
バケツで2、3杯。
制服のみならず、下着までびしょびしょになるけど、閉じ込められているからそこから逃げ出すことなんてもちろんできない。
「すいませーん。水をかけるのはいいんですけど、この水ちょっと臭いんで、かけるなら普通の水にしてくれませんかー」
試しにそう言ってみると、清水さんたちの神経を逆撫でしてしまったようで……。
――バァンッ!
ドア越しに蹴られたのか、大きな音が響いたのと同時に振動が伝わってきた。
「アンタ、本当に自分がどんな状況にいるかわかってんの!?」
わかってるけど、だって臭いんだもん。
まあ、夏も近付いてきて今日は少し暑いから、水浴びさせてくれるのは有難いけど。
そんなことを思っていたのも、つかの間。
「須藤さん、あんたもやりなよ」
清水さんが、美空にそう呼びかけたのが聞こえた。