「蒼唯に呼ばれたら、俺はすぐに飛んでいくよ。たとえどんなに遠くにいたってね」
照れたように「へへっ」と笑う碧に、胸がきゅっと締め付けられる。
やっぱり碧はすごいなぁ。
だって、さっきまであんなにも緊張して胃が痛かったのに、碧に会っただけで収まってしまったんだから。
「ありがとう、碧。おかげで気が楽になった」
「そう?なら良かった」
遅刻しちゃうから、ここでのんびりはできない。
だからあたしは、余計なことは一切喋らず、碧の手を控えめに握った。
「碧の勇気、ちょっとだけ分けてね」
あたしの言葉を耳にした碧は、握られている手をそのまま自分の方に引き寄せる。
その反動で前のめりになって転びそうになったあたしを、碧は受け止める形で抱きしめた。
「……!」
碧の体温が伝わってきて、心臓が早鐘をうつ。
ドキドキが碧にまで聞こえてしまいそうで、耳まで真っ赤になってしまった。
「ちょっとじゃなくて、全部持ってっていいから」
耳元でいつもより低く落ち着いた声で言われて、恥ずかしさのあまり頭がぼんやりしてくる。
でも、本当に碧の全身から力が伝わってくるような気がしてきた。