お母さんに話し終えたところで、澤田先生がやって来た。
手には、いつものノートのコピーの束を持って。
「あら、今日は先生のほうが遅かったみたいね」
あたしが帰ってきていることがわかると、先生は「負けちゃった」とでも言いたげな様子で困ったように笑った。
「はい。これ見て勉強してね」
先生からコピーを受け取る。
いつもと変わらず丁寧で綺麗な美空の字。
今日もありがとう、と心の中でお礼を言った。
本当のお礼は、学校に行ってからだからね。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
毎日かかさず来てくれる先生にもお礼を言うと、先生は微笑んで頷いたあと、「そうだ!」と思い出したように両手をポンと合わせた。
「もうすぐ中間テストがあるんだけど、川原さんどうする?受けたほうがいいとは思うんだけど、まだ行けそうにないなら無理にとは言わないわ」
中間テストか……もうそんな時期なのか。
先生は、学校まで来られそうならみんなと時間をずらしてやるか、それも無理なら家でやってもいいと提案してくれている。
あたしはしばらく悩んだ。