「今日も暑いねー!」
もう本格的に夏が近づいてきているのだろう。
ここ最近はずっと綺麗な快晴続きだし、暖かいを通り越して汗ばむ陽気の日が多い。
「そうだね〜」
のんびりと間延びした声で、碧も同意する。
穏やかな様子の碧を見て、あたしも顔が綻ぶのを感じた。
昨日、学校へ行くことを決意したあたしは、それを碧に伝えようと今日もここに来ていた。
でも、どうやって話を切り出そうか迷う。
「今日も勉強するの?」
「んー、勉強は家に帰ってからする!澤田先生に教えてもらうんだ」
あたしが笑ってみせると、碧が少し驚いたように目をパチクリさせる。
「蒼唯……どうしたの?なんかすごく前向きじゃない?」
「えっ、そ、そうかな」
よ、よし。碧のほうから話を振ってきてくれたぞ。
あたしは、土手に寝転んでいた体を起こし、碧のほうにきちんと体を向けて座り直した。
「あのね、碧。今日は話があるの」
あたしの真剣な顔から何を話そうとしているのか察したらしく、碧もあたしと同じように体を起こす。
「何?蒼唯」
あたしの目を見て聞く体勢をとると、優しい口調であたしを促した。