真っ赤になっていく顔をどうにか冷やそうと両手を頬に当てるあたしに、碧は相変わらずの優しく穏やかな口調で言った。
「蒼唯が俺に体を預けて眠っている時、すごく
嬉しかったし幸せだった」
「幸せ!?……って、もう大袈裟だなぁ!恥ずかしいよ」
この男は、平気でさらりとこんなことを言うからある意味恐ろしい。きっとあれだ、天然のたらしというやつだ。
「これからも、俺の前でだけは強がらなくていいからね」
でも……好きな人にそんなふうに言ってもらえるのは素直に嬉しかった。
「うん……ありがとう」
あたしはそう言いながら、自然と笑っていた。
「そろそろ時間だね。気をつけて帰るんだよ」
少し名残惜しそうに言ってくれる碧。
あたしももう少し碧と一緒にいたい。
「うん!また明日ね」
碧があたしと同じ気持ちでいてくれてるのかな、なんて思うと心臓が跳ね上がるほど嬉しいけど、でも明日もまた会えるから。
「じゃあねー、碧ー!」
笑顔で見送ってくれる碧に、あたしは大きく手を振って、いつもより軽い足取りで家へと向かった。