「……あれ?」


あれからどのくらいの時間が経ったのだろう。


気が付くと、辺りは夕焼け色に染まっていた。


「目覚めた?」


そんな声が聞こえて顔を上げると、優しく微笑んでいる碧と目が合う。


「あたし……」


「泣き疲れて寝ちゃってたんだよ」


そうだった。
碧の腕の中が温かくて気持ちよくて、泣き疲れたということもあっていつの間にか眠ってしまっていた。


ということは、さっきのは……夢?


あおちゃん、つまりはあたしと、碧?


そういえば、碧はあたしと会ったことがあるって前に言ってたっけ。
じゃあ、さっきの夢はその時のもの?


でも、あたしには碧と会った記憶がない。
もしかしたら、碧に抱きしめられて寝ていたから、その時の記憶の一部が夢という形で思い出されたのだろうか。


でも、小学生ぐらいの時のあたしがいて、碧は声しか聞こえなかったな……。


「蒼唯?」


「何でもない、ちょっと変な夢見て……」


そこまで言ってハッとする。


あたしはいまだに碧に抱きしめられている体勢だった!


「ご、ごめん!」


慌てて離れて、距離をとる。
あたしの急な行動を不思議に思ったのか、碧は首をちょこんと傾げた。