ここまで考えて、あたしはハッとした。
あのクラスの中で、あたしを唯一笑わなかったのは美空だけだ。
あの時は、見て見ぬふりもあいつらと同じ側だと思っていたけど……。
『蒼唯に戻って欲しいのかも』
あたしに学校に戻ってきてほしいと思っているのが美空だというならわからなくもない……。
いや、まさか。
「ねぇ、碧……」
「ん?」
「もし、このノートが美空のものだったとしたら、本当にあたしに学校に戻ってきて欲しいって思ってくれてると思う?」
穏やかな目であたしを見ながら、碧が頷く。
「でも、それって、あたしがいなくなって今度はまた自分がいじめられちゃうから、あたしに戻って来て欲しいって思ってるのかもしれないよね……」
まだ信じきれないあたしを見兼ねた碧は、苦笑しながら1枚のコピーをあたしに差し出してきた。
「わざわざこんなことを書いてくれるような子が、蒼唯に身代わりになってほしいとか思わないんじゃないかな」
碧に渡されたのは、あたしがまだ目を通していなかった分の教科のコピーの中の1枚。
ノートの隅の方に、とても小さな控えめな字で書いてあった言葉。
それを読んだあたしは、目頭が熱くなった。