「そういえばさ、このコピー、全部同じ人のだよね」


ふと思い出したように、碧があたしのプリントを指さした。


「えっ、そうなの?」


あまり意識して見ていなかったけど、そう言われてみれば確かに文字の癖やノートの取り方などがどの教科も同じ。


つまりは、同じ人のノートからコピーしたものだというわけだ。


「もしかしたら、蒼唯に戻って欲しいのかもね。蒼唯のためにこんなにたくさんコピーとらせてくれたんだから」


「どうかな。澤田先生が必死で頼み込んだからでしょ」


「そんなことないと思うよ」


あたしを諭すように、優しい声色で碧が言った。


「何でそう言えるのよ。自分の事しか考えてない人達の集まりだって話したでしょ」


「うん。でも、全員が全員そんな人達ばかりじゃないと思うんだ。自分がいじめられるのが怖くて言い出せないだけで」


碧はそう言うけど、あたしはそうは思えない。


自分が次のいじめの標的になるのが怖くて、自分の思うように行動ができないというのもわかる。でも、みんなは底辺にいるあたしを見て笑ってた。


美空みたいに、徹底的に見て見ぬふりだけならまだしも、あの時他のみんなは、清水さんたちと一緒になってあたしを見下していたに違いないんだから。