「小中学生の時は勉強していればそれなりにできてたけど、高校は全然ダメ!勉強したうえで、ちゃんと理解しないといけなくて」


「そうなんだ〜。俺、小学生の時から勉強苦手だったから無理だな〜」


ハハハと笑う碧。
少しだけ元気になったみたいであたしはホッとする。


「ねぇ!碧は何の教科が好きだった?」


自分がしたことで碧が笑ってくれたのが嬉しくて、あたしは勉強を一旦やめて、さらに話を続けた。


「んー、基本的に勉強は嫌いだったんだけどねぇ。強いて言うなら……理科とか」


「理科!? すごい!あたし理科とか数学とか理数系ダメなんだよね」


それを聞いたあたしは、思いきって言ってみた。


「み、碧っ」


「ん?」と優しい目をあたしに向けてくれる碧。



「こ、今度でいいから勉強教えてっ……」



碧が明らかにびっくりしたような顔をする。


今すぐには無理だってわかってる。
でも、いつか、碧が学校へ行けるようになって、勉強についていけるようになってからでいいから。


ドキドキしているのを悟られないように、なるべく平静を装うあたし。
碧は、ふんわりと陽だまりみたいな笑顔を浮かべた。