先生にノートのコピーをもらったその次の日。


あたしは、碧のところでもそのコピーを見て勉強していた。


「どうしたの、蒼唯。急に勉強なんか始めて」


「んー、ちょっとねー」


不思議そうに手元を覗き込んでくる碧。
あたしはそれに、手に持っているシャーペンを回しながら答える。


「澤田先生がわざわざクラスの人たちに頼んでコピーとってきてくれたみたいだからさ、せっかくだから有効活用してあげようと思って」


「そっかぁ」と、碧はあたしの横に散らばっているプリントを1枚手に取り、物珍しそうに眺めはじめた。


「これが……高校で習う勉強か」


そんなことをつぶやいたのが聞こえて、あたしは思わず碧の目を見る。


特別悲しそうという感じではないけど、それでもやっぱり寂しそう。


そうだった。碧もあたしと同じようにいじめられてたんだっけ。


いじめられてたのは小学生の時だって聞いてるけど、この前聞いた時は高校の話は一切しようとしなかったし、碧もやっぱり高校には行ってないのかな。


「そうだよ!こんなに難しいんだよ!ほんと困っちゃうよね」


あたしといる時ぐらい笑って欲しい。


寂しい目をしてほしくなくて、あたしはつとめて明るく言った。