「えっ、ちょっ、蒼唯!?」
止めようとする碧に構うことなく、あたしは少年たちのもとに駆け寄ると。
「やめなさいよ、あんたたちっ!!!」
少年たちの笑い声よりも大きな声で怒鳴りあげた。
一瞬で少年たちは押し黙り、驚いたのか目を丸くしたままあたしのほうを振り返る。
「な、何だよお前……。子供のケンカに大人が口出してくんじゃねーよ!」
リーダーの少年が、あたしに負けじと声を荒らげる。
だからあたしもさらに言ってやった。
小学生があたしに勝てると思ったら大間違いよ。
「ケンカっていうのはね、お互いが意見を言い合ったり、お互いが拳をぶつけたりすることなの。でも今見てたけど、この子はあんたたちに何の反撃もしてないじゃない。あんたたちが一方的にやってるだけ」
そういえば、美空を助けた時も、同じようなことを言ったっけ。
あの時のことが今でも脳裏に鮮明に浮かぶ。
それまでは関わるのが嫌で避けるようにしてきたけど、目の前でいじめを目の当たりして、それを見ないふりをするなんてあたしの正義感が許さなかった。
『やだぁ〜蒼唯ちゃん人聞き悪いこと言わないでよ。ちょっとケンカしちゃっただけよ』
あの時のことが蘇り、この今の状況と嫌でも重なり、さらに怒りが込み上げてきた。