碧のあとに続いて、土手から道へと上がると、数人の小学生ぐらいの男の子たちが、ひとりの男の子を取り囲んでいた。


輪の中の中心にいる男の子は、自分の分のランドセルと、周りにいる子たちの分であろうランドセルまで何故か持たされている。


「早く歩けよー!お前俺たちの家来だろー!」


「け、家来になった覚えはないんだけど……」


真ん中の男の子が弱々しくも言い返すと、たぶんリーダーであろう少年が思いきり顔をしかめて、男の子の足を蹴った。


「わぁっ!」


重い物を持ちながらふらふら歩いていた男の子は、足に衝撃が走ったことでバランスを崩し転倒。持っていたランドセルをすべて落としてしまった。


「あー!何してくれてんだよお前!」


「俺らの大事なランドセルが汚れちまっただろ!?」


「ご、ごめんなさ……」


謝る男の子を、少年たちは容赦なく全員で次々と蹴る。


「痛い、やめて」と訴える男の子を、少年たちは恐ろしいことにゲラゲラと笑っていた。


「早く立てよ〜!」


「あ、そんなボロボロじゃ立てないかー」


笑い混じりにそんな言葉が聞こえて、とうとうブチッとあたしの堪忍袋の緒が切れた。