「そういえば、あれから先生は来てるの?」


「ああ、うん。ほぼ毎日来てるよ。ちょっとしつこいぐらい」


澤田先生は、正直ただの甘ちゃんな頼りない人だと思ってたけど、意外にも熱意溢れる人だったらしい。
毎日のようにあたしの家に足を運んできている。


とりあえず今のところは、あの日みたいに何で不登校になったのか突っ込んでくることはない。代わりに、何故かあたしの今日一日の出来事を聞いてきて、それに対して「楽しそうだね」とか「先生は今日ね」とかいろいろ反応を示してくる。


まあ一言で言えば、わざわざ人の家に雑談をしに来ているというわけだ。


「澤田先生、やっぱり生徒の面倒見よかったんだね」


「……どうだかねぇ」


ごろんと寝転び、青い空を眺めながらぼんやりとつぶやくと、碧があたしの視界に半ば無理やり入り込むように顔を覗き込んできた。


「ダメだよ、蒼唯。そんなこと言っちゃ」


「なっ!ちょっ……近いっ」


碧の前髪があたしの顔にかかるぐらいの至近距離にびっくりして、あたしは思わず碧の額をぺしっとはたいてしまった。


顔は真っ赤になり、心臓もドキドキと音をたてて落ち着かないというのに、そんなあたしをよそに碧は説教を始める。