碧に言われるまで気づかなかった。
自分がつらい状況にいると、どうしても自分中心で物事を捉えてしまう。
先生は、平気であんなことが言える無神経な人なんだと思い込んでしまっていた。


そうだよね、先生とあたしは、まったくの他人。
言わずとして、お互いの気持ちを100%わかりあうことなんてまず出来ない。考えようとすることはできても、理解するのは難しいんだ。


「ごめんなさい、碧。あたし、嫌なふうにしか先生のこと見ようとしていなかった……」


素直に反省すると、「俺に謝らなくていいよ」と、碧が目を細めて笑った。


「次会った時、今度はちょっとだけでも蒼唯の正直な気持ちを伝えてあげればいいんじゃないかな」


「次……か。また来てくれるかな……」


澤田先生に失礼な態度をとってしまったから、もう見放されてしまったかもしれない。また来るとは言っていたけど、どうなんだろうか。
あたしだったら、あんなふうに拒否反応を示されたら例え自分の教え子でも会いたくないと思ってしまう。


かと言って、先生に会いに行くためにだけに学校に行くなんてことはもちろんできない。


でも碧は、自信満々に、それでいてのんびりとした口調で答えた。



「大丈夫だよ」