「蒼唯、先生に向かってそんな態度はないでしょ」


そんなあたしを、お母さんがすかさず叱る。


「あっ、お気になさらず!私は大丈夫ですので!」


「でも先生……」


「いいんですよ」


澤田先生はおろおろしながら、眉間にしわを寄せるお母さんをなだめた。


あたしはそんな2人を横目に自分の部屋へと向かう。


「川原さん!先生、また来るからね!」


あたしの背中に向かって、先生が呼びかけた。


そんなの好きにしたらいい。
でも、また家まで来られたところで、あたしはしばらく学校には行かないと決めた。
その期間がどれぐらいかはわからないし、そこまでは決めていないけど、もしかするとこの先ずっと学校には行かないかもしれない。


碧もお母さんも、しばらく休んだらいいって言ってただけだから、今後一切行かないとなるとそれはダメだと言われると思うけど、今はまだ先のことまで考える余裕はない。


そっとしておいてほしい。
今はただ、それだけ。


「蒼唯、今度先生が来てくれた時は、もう少しきちんとするのよ」


そんなあたしの気持ちを察してか、お母さんもそれだけ言って、あとは特にお咎めなしだった。