午後5時。


もうすぐ夏だということもあって、まだ全然外は明るいけど、あたしはいつもこの時間になると帰る。


あんまり遅くなると、帰宅途中の同級生に会ってしまう可能性があるから。


碧もそれをわかっているから、土手から起き上がってあたしに言う。


「明日もここにいるから、いつでもおいで」


「うん、ありがとう碧」


ふわりと笑う碧。


あたしも釣られるように笑顔になる。


「また明日ね、蒼唯」


「うん、また明日」


手を振って、あたしは自分の家へと歩き出す。


少し歩いて立ち止まって、振り返ると、碧はまだそこにいて。


「気をつけて帰るんだよー!」


あたしに届くように大きな声で言って、両手をぶんぶんと振る。


だからあたしも、右手を思い切り振って、別れを告げた。


そうだ。明日はお菓子か何か作って、碧にプレゼントでもしようかな。日頃のお礼に。


何がいいかな?ていうか、碧の好きな食べ物とか全然聞いてないや。


甘い物が苦手だったりしたら困らせちゃうだけだから、プレゼントするのは碧の好きな食べ物を聞いてからにしようっと。


そんなことを考えていると自然と軽い足取りになっていて、あっという間に自分の家に到着した。