今更だけど、碧は本当に綺麗な顔をしていると思う。
最初は、そんなことを考える余裕もない時に出会ったからあんまりかっこいいとか思わなかったけど、今考えればたぶん芸能人とかにいそうなレベルじゃないかな。
垂れた目元は優しい雰囲気を感じさせるし、ふわふわしたクセっ毛も可愛く見える。
学校に行ってた頃は、きっとすごいモテたんだろうなぁ……。
彼女とか、いたりしたのかな……。
うーん、なんか複雑だなぁ……って、何でそんなふうに思うのよ、あたし……。
「蒼唯?どうかしたの?」
気が付くと、碧が心配そうな目であたしの顔を覗きこんでいた。
ち、近い!
あまりに近い距離のせいで、碧の柔らかい前髪があたしの額にかかってきて、思わず顔が熱くなった。
「な、何でもない!」
すぐに顔をそむけて、距離を取った。
「すごく難しい顔してたけど、本当に平気?」
「全然!なんでもないから!」
恥ずかしい。こんなに心拍数が上がったのは久しぶりで、挙動不審になってしまいそうになった。
な、何なんだ今の“ドキッ”ていうのは!