「じゃあ、学校はどこに通ってたの?」
碧に聞くと、またもや驚いたような困ったような顔をされた。
でも気になるものは気になる。
碧はこのへんでは見たことのない顔だし、いつも制服じゃなくて私服だから。
どこの学校なのかぐらいは答えてくれるだろうと思った。
「えっとね、あっちのほうにある小学校に通ってたんだ」
碧が、隣町のほうを指さして言った。
けど、あたしが聞いているのは出身小学校じゃない。
「何で小学校?そうじゃなくて、今通ってる高校はどこか聞いてるんだけどっ」
「あ、そ、そっか。そうだよね、ごめんっ」
何故か慌てる碧。困り果てたような表情を浮かべていたから、あたしはやっぱり高校の話はしたくないんだと思ってそれ以上聞かないことにした。
「まあ、いいや。とりあえず碧も事情があって今は学校には行ってないんだよね」
「う、うん……まあ……そんな感じかな」
何を隠してるのかわからないし、それが何なのかすごく気になるけど、でも碧は碧だ。
「じゃあ、不登校同士、仲間だね」
あたしは隣に座る碧に、ニッと笑ってそう言った。
碧もいつもみたいに優しい笑顔を返してくれると思ったのに、この時の碧は、どこか寂しそうに笑って頷いた。