思い残すことがなくなり、じきに俺はもう消える。
だから、蒼唯に笑ってほしい。
でも、俺の気持ちとは反対に、蒼唯は涙を流しながら俺を行かせまいとする。
「あたしも、ずっとずっと、碧のことが好きだ ったんだからぁっ……!!」
俺の告白の返事を、蒼唯は泣きながらそう言った。
さらに、俺にしがみつくようにして胸に顔を押し付け、蒼唯が泣きながら子供のように俺を引き止めようとする。
嬉しくて嬉しくて、またそばにいたいという欲が出てきそうになる。
でもそれ以上に、その言葉を聞けたこと、俺と同じだったということ、ここまで強く想ってくれていたことが幸せだった。
死んでもなお、こんな幸せを味わえるなんて。
ありがとう、最期にそれが聞けてよかった……。
俺は泣きじゃくる蒼唯をなんとかなだめて、俺は覚悟を決めた。
体がすけて、感覚がなくなっていく。
本当にお別れだ。
改めてそれを実感すると、俺は初めて涙が出た。
「最期のお願い。 笑って、蒼唯」
俺の願い通り、蒼唯は涙でぐしゃぐしゃになりながらも、今まで見た中で一番綺麗な笑顔を見せてくれた。
名残惜しくて、そんな蒼唯に何回かキスをして。
「たぶん、俺は生まれ変わっても、 また君のことを好きになる」