蒼唯が来なかった一週間。
俺は、いかにして自分の正体を話して、好きだと伝えるか、ずっと考えていた。
たぶん、蒼唯はこのまま俺のことを思い出さない。それでも俺は伝えられればそれでいいから、そのことは関係がない。
もしかしたら、蒼唯はもうここには来ないかもしれないけど、それなら俺のほうから蒼唯に会いに行って伝えるまで。
でも、出来れば、蒼唯との想い出がたくさん詰まったこの川で、言いたい。
待つのにはもう慣れた。
だから、大丈夫。
次に蒼唯が来てくれた時、とにかく言おう。好きだと。蒼唯みたいにまっすぐに。
そう思った矢先、蒼唯はまた来てくれた。
完全にではないにしろ、俺の思い出の断片を掴んで。
碧と名前を叫ばれ、嬉しくてたまらなかった。
やっと、やっとだね。
やっと、“俺”を見つけてくれた。
空から舞い降りるようにして現れた俺を見て、蒼唯は涙を浮かべる。
そんな顔しないでよ、蒼唯。
そう思って抱きしめたけど、ばれてしまったあとでは人間と同じようにはもうできないらしい。
俺の体温を感じられず、結局蒼唯をさらに悲しませてしまった。