だけど、蒼唯はそんな俺の想いとは裏腹に、ノートのコピーをきっかけに学校へ行くことを決めた。決めてしまった。


まっすぐな彼女らしい決断。
俺にはない、だからこそ憧れた彼女の芯の強さからきた答え。


いろんなことがあって、蒼唯も変わってしまったと思っていたけど、やっぱり蒼唯はあの頃のままのまぶしい女の子で。


そして俺も、あの頃と同じ、自分の事しか考えてない汚い男。


きっと、蒼唯へのいじめが終わるのはもうすぐだ。


直感的にそう思って、俺は思わず、


「蒼唯が学校に戻ったら、ここに毎日来ること もなくなるんだよね……」


そんなことをつぶやいてしまったんだ。


本当は喜ぶべきなのに。
蒼唯が笑って学校に通えるようになって、そうしたら俺もちゃんと告白して、やっと逝くことができる。


それなのに、寂しいと思ってしまう自分が嫌で仕方がない。


そう思ったけど、蒼唯はまたもや俺を救ってくれた。


「大丈夫だよ、碧!あたし、学校に戻っても時 間を見つけてここに来るから!」


蒼唯は、最低なことを考える俺に、そう言う。


「こんなこと言うのはちょっと恥ずかしいんだ けど、あたしには碧が必要だからさ……」


少し頬を赤く染めながら、蒼唯は俺を必要だと言ってくれた。


こんな俺でも、少なからず蒼唯の助けになれていたんだ。


そう思うと嬉しくて、勝手に笑顔になってくる。


「ありがとう」


ぎゅっと抱きしめて、お礼を言ったあと、蒼唯に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言った。


「蒼唯にそう思ってもらう為に、 俺はここに存在しているから……」


俺を必要だと言ってくれた君に、俺は応えなければいけない。


だから、もうこのままでいいなんて思わない。


蒼唯が前に進むんだから、俺も置いていかれないようにしなくちゃね。