「蒼唯!」
「あおちゃん!」
あおちゃんのお母さんと、たぶんあおちゃんのお父さんが、あおちゃんの体をぎゅっと抱きしめる。
「ど、どうしたの?お母さん、お父さん……」
あおちゃんが戸惑いながらもふたりをなだめた。
俺も、思ったよりも元気そうなあおちゃんの姿を見て、ホッと安堵の息をついた。
「そういえばね、隠しても仕方ないから先に言っておくけど……」
あおちゃんのお母さんが、あおちゃんの目を見ながら悲しそうに顔を歪ませて言った。
「碧くんは……残念だけど……」
僕の姿が見えないあおちゃんのお母さんは、それだけ言って、すすり泣く。
自分が死んだ事実を改めて突きつけられ、僕は思わず俯く。
だけど、そんな僕に追い討ちをかけるように。
あおちゃんが信じられない言葉を返した。
「え?“みどり”って……誰?」
……そん、な。
まさしく、頭を殴られたような感じ。
頭が一瞬で真っ白になって。
「あおちゃん!! 僕だよ!! ここにいるよ!!」
自分は幽霊だとか、あおちゃんに僕の姿は見えないとか、そんなこと一切考えずにそう叫んでしまった。
そして、あおちゃんの肩を掴もうとした時。
――スッ。
あおちゃんの体を、自分の手がすり抜けていったのを目の当たりにして、僕は我に返った……。