そもそも、あおちゃんはどこにいるのだろう。


そう思った時、ふわりと体が浮かび、町全体が見渡せる高さまで来た。


本当に幽霊になったのだ、と実感しつつ、町の様子を見ていると。


「あおちゃん!」


遠くからでもすぐにわかった。


大好きな君の姿。


僕はすぐさま彼女のもとへと向かう。


あおちゃんは町の病院の一室にいて、周りの看護師さんの話だと、つい先ほど目を覚ましたとのこと。


「川で溺れてから3日も意識不明で……」


看護師さんがそう言っているのを、病院の廊下で聞いた。なるほど。あの日から3日が経っているんだね。


どうやら、やっぱり僕は本当に幽霊らしく、僕の隣を通り過ぎていく人達は、僕の存在に気づいている様子はまったくない。見えていないんだ。


それでも、あおちゃんに会いたくて、僕はあおちゃんが入院している部屋へと向かった。


【503号室:川原蒼唯】


ここだ……。


まだ自分は幽霊なのだという自覚はあまりなくて、誰かに見つかるかもしれないという思いから、入口のところからこそっと中の様子を覗く。


いた……!


大好きなあおちゃんが、白いベッドの上で上半身を起こした状態でいた。