僕は、もともと大人しい性格で、いじめっ子たちの目に止まってしまうような、そんなタイプの人間じゃなかった。


でも、ひょんなことから嫌がらせを受けるようになった。


大人しい性格のせいで友達も少なかった僕に、味方をしてくれる人なんていない。


ひとりで耐えるしかないんだと思っていた。


この時までは……。




「あんた、何してんのーーー!!」



隣町と繋がっている橋の真ん中でたそがれていたら、突然向こう側のほうからランドセルをガシャガシャ鳴らしながらこっちに女の子が突進してきた。


「早まっちゃダメぇ!あんたにはまだ明るい未来がいっぱい待ってるんだから!」


「へ?ええっ!?」


どうやら、僕がこの橋から飛び降りようとしているといると思ったらしく、女の子は必死で僕のことを止めてくれた。


「いいよ。だって、僕を助けようとしてくれたんでしょ?」


違うと伝えると女の子は慌てた様子で謝ってくる。


だからそう答えると、女の子は恥ずかしそうに俯いて。


さっきはあんなに威勢がよかったのに、顔を真っ赤にしながら縮こまってしまう。


蒼唯と名乗った女の子。


彼女の第一印象は、可愛いなぁ、だった。