家に帰ると、リビングから「おかえりー!」というお母さんの元気な声に出迎えられた。
「……ただいま、お母さん」
いつもなら部屋に直行して、制服から部屋着に着替えてからリビングに向かう。
でも、今日はすぐにお母さんのもとへ行った。
「おかえり、蒼唯。早かったね」
キッチンから顔を出したお母さんは、あたしの汚れた制服を見て目を丸くした。
もうほとんど乾いてるけど、雑巾をしぼったあとの汚い水をかけられたから、真っ白なはずのYシャツにシミができている。
「どうしたの?制服そんなに汚れてるけど」
「うん……。ちょっと、いろいろあって……」
曖昧に答えると、お母さんは何かしら察したのか一瞬つらそうに顔を歪ませる。
やっぱり、お母さんを悲しませてしまった。
あたしのことを思ってつらそうな表情を浮かべるお母さんを見ていられなくて、あたしは目線を泳がせる。
「それでね、お母さん……。ちょっと言いにくいんだけど、しばらく学校、休ませて欲しいなぁ……なんて」
最終的に床に視線を落として苦笑しながら、あたしは思いきって言った。