その言葉の意味が理解できず、あたしはパッと顔をあげた。
縁さんは、ポロポロと静かに涙を流しながら、それでいて柔らかな笑顔をたたえていた。
「碧ね、こんなことも言っていたの」
縁さんの言葉を聞いた瞬間、あたしはその場に泣き崩れてしまった。
碧が生前、言っていたこと。
それは……。
“今度は、僕があおちゃんを守るんだ!”
「蒼唯さんにそうしてもらったように、自分も蒼唯さんを助けるんだって。そのためにもっと強くならなきゃって……」
碧が溺れたあたしを助けてくれたこと。いじめられて橋から飛び降りようとしたところを助けてくれたこと。その時の碧の姿が脳裏によぎる。
「碧はちゃんと、蒼唯さんに恩返しすることができたのね」
そう言って縁さんが泣きながら微笑むから、あたしはさらに涙が溢れて止まらなかった。
「碧ぃ……!うわぁぁぁん!」
声を上げて泣くあたしを、縁さんは抱きしめてくれた。
「蒼唯さん……。
碧のこと、こんなにも愛してくれて、
本当にありがとう……」
縁さんの言葉は、碧がいなくなってぽっかりと空いたあたしの心を、温かく埋めてくれていった。