“好きだよ”
“大好きだった”
碧の言葉があたしの耳に届いて、その言葉の意味を脳で理解したあとに、心までまっすぐ響いていった。
生きてたあの頃から、死んだあとでも、あたしのことを想っていてくれて。
「それを……あたしに伝えるために……?」
震える声で問いかけると、碧は笑顔で頷く。
「蒼唯は、俺にとって、あの抜けるような青空みたいな存在だった。一緒にいて、心が洗われるような清々しい気持ちになれるんだ」
「そんなことない……!それは碧だよ!」
碧の言葉や笑顔、温もりは、ひねくれたあたしの心を優しく包んで溶かしてくれるようで、本当に救いだった。
「蒼唯は自分を知らなすぎるよ。君のまっすぐな正義感や優しさが、俺や美空ちゃんはもちろん、清水さんまでもを助けたんだ。これは、誰でも簡単にできることじゃない」
蒼唯にしかできなかったことだよ、と碧はあたしを抱きしめたまま、いつかみたいに“えらいえらい”と頭を撫でる。
「だから、ちゃんと伝えられなかったことが、ずっと心残りだったんだけど……」
あたしを撫でる手が止まる。
その手を、またあたしの頬に伸ばした。
そして、今までたまに見せてくれた、あどけなさの残る無邪気な笑顔を浮かべる。
でも、次に彼が口にしたのは、あたしを悲しみのどん底に突き落とすものだった。