ありがとう、あおちゃん。
君だけでも……。



そんな小学生の碧の言葉が、あたしの頭に直接流れ込んできた瞬間、あたしの目から堰を切ったように涙が溢れ出た。


待って、まさか、碧……!?


碧は、溺れたあたしに酸素を送るためにキスをすると、強く握ったあたしの手を無理矢理ほどく。


『ん……みどり……?』


意識を取り戻したあたし。
碧はあたしにいつもの優しい笑顔を向ける。


そして、碧はあたしの体を水面に向かって強く押し上げた。


『っ!?』


驚いて目を見開くあたしに、さようなら、とでも言いたげな様子で、碧は寂しそうな笑顔を向けた。


あたしを押した反動で、碧は川の底へと沈んでいく。


そこで、やっとあたしは、碧の行動の意味を理解して、助けようと慌てて手を伸ばす。


でも、それを阻むように水の流れがあたしの体を水面へと持ち上げていき、今度は手が届くことはなかった。


碧!碧!!碧!!!


それでも諦めずに手を伸ばしたけど、碧は暗い川底へと消えていき、とうとう見えなくなってしまった。



やだよ、行かないで!碧……!!



小学生のあたしの気持ちが、痛いほどに流れ込んできて。


あたしは、その場にうずくまって泣き叫んだ。