あ、覚えてる。この会話。


このあと、あたしはこう言うんだ。


『碧は今までずっと一人で耐えてきたんだから。充分すごいよ。強い人じゃないとできないことだと思う』


あたしの言葉に碧は驚いたあと、顔をパァッと輝かせた。


『ありがとう、蒼唯ちゃん……』


『? あたしなんにもしてないよ?』


首を傾げるあたしに、碧は心から嬉しそうに笑う。


『よくわかんないけど、碧はもう大丈夫だよ』


『え?』


あたしは、碧の手を、両手で包む込むようにしてぎゅっと握った。



『碧はひとりじゃないから。あたしがいるから』



あっ……!この言葉……!


碧がいつもあたしに言っていたあの言葉。
あれは、あたしが前に碧に言った言葉だったんだ。


ありがとう、とまた碧が微笑むと、遠くから『あおちゃーん!』とあたしを呼ぶ声がする。


この声は、お母さんだ!


あたしが思った通りで、四年前の少し若いお母さんがあたし達のところに駆け寄ってきた。


今でもたまに呼んだりするけど、小学生の頃はまだ常に“あおちゃん”呼びだったっけ。


『もう、こんなところにいたのね。あおちゃん』


『おかーさん!』