『蒼唯ちゃんだね。助けてくれてありがとう』
『!』
ボンッと音でも聞こえてきそうなぐらい一瞬で耳まで真っ赤になる小学生のあたし。
徐々に、小学生の碧と会った日のことから記憶が蘇ってくる。
そうだった。碧はこの頃から、こんなふうに柔らかく笑う人だったんだよね……。
それにしても、どうして忘れてしまっていたんだろう。
あたしが記憶を失っていたのは何で……。
その答えを示そうとしているかのように、場面がどんどん変わっていく。
初めて会った日から、あたし達は学校帰りにこの川で待ち合わせするようになって。
お互いの学校の話とか家族のこととか、いろんな話をして。
『ほんとお前、男の癖に弱いなー』
『あんたたち何してんのー!やめなさい!』
川の近くでまた男子たちにいじめられていた碧を、あたしが飛び込んで助けたりして。
そうして、確かに絆を深めていく小学生のあたしと碧。
『蒼唯ちゃんは強いんだね。僕は怖くて、ただ我慢するしかできないんだ』
ある日、またいつものようにいじめられていた碧をあたしが助けると、碧がおもむろにそんなことを言ってきた。
『え?碧もめちゃくちゃ強いじゃん』
それに対して、あたしはさも当たり前のように返す。