そうだ、あの手紙。
あれを見つけたから、あんな変な夢を見てしまったんだ。


やっぱり、あれにはあたしが知りたいこと、あたしがわからないことが全部書いてあるはずだ。


怖い。読みたくない。嫌だ。


そう思うけど、あんな夢をみたあとだからか、真実を知りたいという気持ちのほうが勝っていた。


あたしは、不思議そうにお母さんが見守る中、引き出しにしまっておいた封筒を引っ張り出して、中を開けた。


【川原 蒼唯さんへ】


手紙の書き出しは、あたしの名前がとても丁寧に書かれていた。


手紙を読み進めていくたびに、ドキドキと胸の鼓動が速くなっていく。


全部読み終えた頃でも、まだ現実が受け止められなくて、信じられなくて、なんというかふわふわとした感覚が強かった。


「……お母さん、あたしが前にお弁当を作ったことあったでしょ?覚えてる?」


あたしは便箋を封筒に戻しながら、おもむろにお母さんに問いかけた。


「ああ、彼氏の為に作ってたアレ?」


「うん。3ヶ月ぐらい前に初めて会ってね、今までいじめられていたあたしをずっと励ましてくれてたの」


突然質問されて少し驚いた様子のお母さん。
それでもきちんと答えてくれたお母さんに、あたしはさらに続けた。



「その人の名前ね……碧っていうの。
空河……碧」



あたしの言葉を聞いたお母さんの顔が、みるみるうちに青くなっていったのを見て、あたしはすべてを確信してしまった。