「あっ!! ……はぁ……はぁ……」
現実世界に引き戻された。
慌てて飛び起きると、心配そうにあたしを見つめるお母さんがいた。
「お、お母さんっ……」
「どうしたの、蒼唯?うなされてたわよ?」
肩で大きく息をして、必死に呼吸を整える。
冷や汗をかいていたのか、パジャマがびっしょりと濡れていて心地悪い。
カーテンの隙間からはまだ月の光が差し込んできていたから、眠りについてからまだそんなに時間は経っていないことが伺える。
……いや、そんなことよりも。
あれは、何だったんだ。
ひどく嫌な夢だった。
あの二人の温かな光景と、そのあとのニュースみたいな内容。
〇〇町と××町を繋ぐ橋、そしてその下を流れる川というのは、あたしと碧のいつものあの場所のことだ。
そこで、亡くなってしまった小学6年生の男の子……。
あのニュースはいつのものだろう。どこかで耳にしたことがある内容な気がするのはどうしてだろう。
「ちょっと、蒼唯!うなされていて、やっと起きたと思ったら、今度はぼんやりしたりして、一体どうしたの?」
体を揺すり、あたしの顔を覗き込んでくるお母さん。
「何かあったの?今日、あの三回忌のお知らせの手紙を見つけてから、あなたずっと変よ?」
お母さんの言葉に、あたしはハッと我に返った。