そのあと、考えたくないというあたしの心とは裏腹に、頭は真実へと辿りつこうとフル回転していた。


碧と初めて会った“と思っていた日”のこと。
それから今日までのこと。
お弁当を食べてくれなかったり、小学校までしか通っていなかったり、いないと思っていたら突然現れたり……不思議だった碧の言動のこと。


考えれば考えるほど、有り得ないうえに最悪なことばかり脳裏によぎってしまって……。


これ以上考えるのはやめよう、と。


そう思って、早めに寝る準備を済ませてベッドに横になった。


目を閉じて、睡魔が来るのをひたすらに待つ。
それでもやっぱり、思い浮かんでしまうのは碧の優しい笑顔ばかり。


そういえば、いじめ問題がなくなったら、あたし碧に本気でアタックしてやろうと思ってたんだよね。


デートに誘って、そこで告白して、その結果が何であろうと、碧が学校に通えるようになるまでは碧のそばに居続けるって決めていた。


碧に助けられたあの日から、ずっと碧はあたしのそばにいてくれたから。その恩返しをするつもりで。もちろん、好きだからというのもあるけど。


それなのに……碧があんなこと言うから……。


俺がいなくても大丈夫、なんて。ひとりじゃないから、なんて。


そんな寂しいこと言わないでよ。


碧がいなくちゃ、意味が無いなんだから……。


そんなことを考えているうちに、あたしは深い眠りへとおちていった……。