「おかえり、蒼唯。ごめんね、ちょっと散らかってるけど」
お母さんは掃除ついでに何やら押し入れの整理をしていたのか、あたりは物であふれていた。
いらなくなったから捨てる物と、まだ必要な物とで分けているらしい。
「あたしも何か手伝おうか」
「そう?ごめんね、じゃあお願いするわ」
動きやすい部屋着にきがえて、あたしはお母さんのお手伝いを始めた。
そういえば、お母さんと揃って同じことをするのって、碧のためにお弁当を作った時以来かもしれない。
あの時はあたしがほとんど料理してたけど、あたしが危なっかしい時はちょこちょこと手伝ってくれたっけ。
でも、その努力も報われず、碧は食べてはくれなかったんだけどね……。
こんな時でも、考えてしまうのは碧のことばかり。
あたしは、どんだけ碧のことが好きなんだと少し呆れてしまった。
「……ん?」
しばらく黙々とお母さんの手伝いをしていたあたしだったけど、その途中である物を見つけて思わず手を止めた。
「何だろう?」
見つけたのは、一通の白い封筒。
手紙かな?もしかして、お母さんがお父さんからもらったラブレターとか!?
そんな変な妄想をひとりで楽しんでいると、お母さんはあたしのほうを振り返り、「ああ、それ」と思い出したように言った。