そのあと、クラスのみんなも、今まで見て見ぬふりだったことをきちんと謝ってくれた。
やっと、このクラスにあたしと美空の居場所ができた。
そう安心したのもつかの間、美空があたしの制服の裾をちょんちょんと引っ張ってきて。
「どうしたの?」と聞くと、思いもしなかったことを口にした。
「蒼唯ちゃん。私もね、清水さんにちゃんと謝りたい」
「えっ?謝る?清水さんに?」
首を縦に振って、美空は今まであまり見たこともないまっすぐな目であたしを見る。
「だから、蒼唯ちゃんも一緒に来て。清水さんのところ。蒼唯ちゃんが居てくれたら、私頑張れそうな気がするから」
何を謝るんだろうと思ったけど、美空があまりにも真剣なのでその質問はできないまま、あたしは「わ、わかった」と答えた。
「じゃあ、行くよ!」
「え!? い、今から!? 授業は!?」
あたしの腕を掴み、廊下に飛び出す美空。
1時間目が始まるまであと1分もないことを伝えたけど、美空は迷うことなく……。
「そんなことより、清水さんが大事!」
清々しいほどの笑顔を浮かべた。
……すごいなぁ、美空は。
自分をいじめてた人のことを、“大事”なんて。
美空は頼りなくて気弱だとずっと思っていたけど、美空のほうが、あたしなんかよりずっと強い人だったのかもしれないね……。