それはさておき、いくら美空が無実だったとわかったからといって、清水さんの手下といっても過言ではなかった皆が、手のひらを返したように清水さんの悪口を言っている。


これは、どういうことなのか。


その理由は、すぐにわかった。


「今までごめんねぇ、川原さん。須藤さん」


そう声をかけてきたのは、清水さんといつも一緒に行動しているはずの、取り巻きたちだった。


驚いて目を丸くするあたしと美空。


顔を見合わせて固まっていると、取り巻きたちがさらに続けた。


「須藤さんをカンニング犯人にするなんて、ちょっとやりすぎだったかなって思ってたのよ。でも……清水の命令だったから、私達も仕方なくって感じで……」


髪をいじったり、制服についたゴミをはらったりしながら、苦笑する取り巻きたち。


仕方なくって……それでも、今までやってきたことは消えないし、同じでしょ?今更関係なかったみたいなこと言われても困る。ていうか、あなた達は清水さんの友達じゃないの?味方じゃないの?


思考がついていかないあたしとは裏腹に、取り巻きたちは何故かクラスメイトたちと楽しそうに話している。


「あの……よく意味がわからなかったんだけど?」


もう一度尋ねてみると、取り巻きたちは何事もなかったかのように笑いながら言った。



「いや、まあ簡単に言うと、もう清水には付き合いきれないっていうか、そんな感じ。さすがに昨日のはやりすぎだったと思うし、先生も敵に回しちゃってるようなもんだし。

清水と一緒にいたのはぶっちゃけ自分がいじめられたくなかったからで、特に友達とかそういうんじゃないから。変な勘違いしないでね。私達だって、もう関わりたくないんだぁ」