「今度、バレないカンニングの仕方、教えてよ」
清水さんが美空の顔を覗き込むようにして、楽しそうに言った。
馬鹿にしたような口調。
苦しむ人を見て楽しんでる笑顔。
それらが、あたしの我慢の限界を超えた。
「いい加減にしなさいよ!!」
美空から離れさせるように、あたしは清水さんの体を押しどけた。
「きゃっ!」
その反動で、清水さんは後ろに倒れて尻もちをついた。
「ちょっと!」
「何すんのよ、あんた!」
取り巻きたちが清水さんを庇うようにして立ちはだかってきたけど、そんなことに構うことなく、あたしは怒鳴り声をあげた。
「美空がそんなことするわけないでしょ!?こんなに大人しい子が、カンニングなんてできるわけないじゃん!!」
「どうかしら?大人しい奴に限って、何するかわかったものじゃないわ」
立ち上がった清水さんが、いまだに飄々とした雰囲気を崩さない。
後ろに控える取り巻きたちも、ニヤニヤしているのが本当に腹が立つ。
どうして……美空がこんな目に遭わなきゃいけないの……!
「せんせー。カンニングしたんですから、須藤さんのテストの点数は0点ですよね?」
勝ち誇ったような表情で、清水さんが澤田先生に同意を求める。
しばらくずっと黙っていた澤田先生は、あたしと美空を交互に見た。