雲ひとつない、抜けるような、それはそれは綺麗な青空の日でした。
不思議な雰囲気の彼と出逢ったのは。
「……誰、あんた」
後ろを振り向くと、そこには少しくせがついた茶色い髪が特徴の背の高い男子が立っていた。
見たところ、同じ年ぐらいだろう。
優しそうなたれ目の彼を、あたしは思いきり睨んでやった。
「誰?」
「俺は空河碧(くうが みどり)」
「ふーん」
みどりって……男にしては変わった名前だな。
ぼんやり思いながらも、この人がどんな名前かなんてたいして興味はない。
「君は?こんなところで何してたの?」
「何でもいいでしょ」
碧とかいう男は、何故かあたしの隣まで歩いてきて、屈託の無い笑顔で聞いてきた。
「もしかして死のうとしてた?」
「……は?」
ど真ん中、ストレート。
あまりに単刀直入かつ直球すぎて、一瞬面食らってしまった。
「……だったら何よ」
まあ、別に隠すつもりはない。
橋の手すりに右足をかけたところまでは見られてるわけだし。
飛び降りようとしているように見えて当然だろう。
「ここから落ちたら確実に死ねるでしょ?」
わざと笑いながら言ってみせると、碧はそのたれ目をさらに下げてふんわりと微笑んだ。