「あーっ!! 須藤さん、カンニングしてるー!!」
声の主は、清水さんの取り巻きのうちの1人。
その人の声で、あれほど騒がしかった教室内が、一瞬で水を打ったように静まり返った。
「えっ……わ、私カンニングなんてしてないよ……!」
慌てて首を横に振る美空。
「えー?だって、ほら!」
そう言って、取り巻きがクラスの全員に見せるように掲げたのは消しゴム。
その消しゴムのスリーブを取ると、露になった白い消しゴムに、ペンで今回のテスト問題だった英単語がびっしりと書き込まれていた。
「っ!!」
美空の顔が真っ青になる。
取り巻きが言うには、美空の分の問題用紙を集めようとした際に机にぶつかってしまい、美空の机の上に置いてあった消しゴムが床に落下。
それを拾って見てみたら、中に英語の小テストの範囲の答えが書き込まれているのがわかったとのことだった。
「嘘……。まじでカンニングしてたの……?」
「信じらんない……」
「この前の中間テストで100点取ってたのもやっぱりカンニングしてたから……?」
クラスの皆がヒソヒソと話し出す。
そうだ。中間テストの返却の時にも、カンニングなんていうことを言われたから、余計に皆が信じやすくなっている。最悪のタイミングでの騒動だった。