あたしは気になって、さらに問い詰めた。


「なんとなくってどういうこと?」


「そのままの意味だよ」


碧はさらに目を細めて、今までよりも一際優しい目であたしを見た。



「ずっと、蒼唯のことを見てきたから、その周りのことだって少しならわかる。それだけだよ」



あたしのことを……ずっと……?


顔が熱くなり、心臓が大きく波打つ。


すごく嬉しい言葉だ。
でも、それよりも疑問に思うことの方が多い。


「ずっとってどういう意味?だって碧は、この川を渡った先の隣町に住んでる人なんでしょ?ついこの前に初めて会ったばかりで……」


立て続けに質問をするあたしが必死すぎておかしかったのか、碧はクスクスと笑う。


「この間も言ったでしょ。俺と蒼唯は前に会ったことがあるって」


「それは……」


確かにそう言われたけど、あたしには碧と以前にも会って話した記憶がないから、いまいちピンとこない。


碧はくせ毛をふわりと揺らしてあたしに向き直ると、



「大丈夫。もうすぐで全部わかるから」



意味深な言葉だけを残して、それからは何を聞いても答えてはくれなかった。