「碧、昨日言ってたでしょ?あたしや美空がいじめられてる理由、考えたことあるかって」
「うん」
「あたし、自分がいじめられるのは美空を庇ったからっていうのはわかってたけど、あの大人しい美空が清水さんに目をつけられるようなことをしたなんて、碧に言われた時はどうしても思えなかったの」
碧がまた「うん」と優しく相づちを打つ。
「でも、碧が言ってたことがずっと引っかかってて。だから今日、美空に聞いたの。心当たりないかどうか」
それで、美空から聞いた清水さんとの中学の時の出来事を話した。
「たぶん、それがきっかけで清水さんは変わっちゃったんだと思うんだ」
「そっか、そうだったんだね」
“そうだったんだね”?
碧の返答に違和感を覚える。
「碧、そのこと知ってたわけじゃなかったの……?」
「ううん、知らなかったよ」
「ええっ!?」
意外な言葉に、思わず声を上げて驚いてしまった。
てっきり碧は知っていたのだと思っていた。
だから、“助けてあげる”なんて言ったのだと。
「じゃ、じゃあ!何で……知ってたから昨日……!」
「それは……なんとなく、かな」
にこっと、いつもより少し無邪気な笑顔を浮かべる碧。
でも、そんな理由で納得するわけない。
ずっと不思議な人だとは思っていたけど、碧は一体何者なんだ?