夏が近づいてきて、日が暮れるのもだいぶ遅くなってきたというのに、学校を出る時にはもう暗くなっていた。


つまりは、今はだいぶ遅い時間なわけであって。


でもあたしは、美空と別れたあと、どうしても碧に話がしたくていつもの川まで走ってきた。


「碧!いないの?碧っ!」


川辺のほうは薄暗さが際立っていて降りるのが少し怖かったから、橋の上から名前を呼ぶ。


今日はここには来ないと決めていたけど、美空の話を聞いたらどうしても気になってしまった。


昨日、碧が言っていたことの意味は美空が言ってたことだったのか。
もしそうだったとして、どうして碧が、そのことを知っていたのか。


「みどっ……」


「何?」


……!!


突然、背後に気配を感じてあたしはバッと振振り返る。


そこには、さっきまで誰もいなかったはずなのに、目尻を下げて微笑んでいる碧の姿があった。


なんだか、最近それまで人の気配なんてなかったのに碧が突然現れる、ということが多くなったような気がする。気のせいかな……?


まあ、それはいいとして。


「碧!昨日言ってたこと!あれって!」


話がまとまらないうちに話し出してしまい、ついつい体ごと前のめりになってしまった。


「えーと、とりあえず落ち着いて」


少し困ったように笑いながら、碧が両手のひらをあたしのほうに向けて“待った”ポーズをする。


あたしはそれに習い、二三度大きく深呼吸をしてからもう一度切り出した。