中学の時の話を、美空は語り始めてくれた。


その時から、美空はおかっぱのぽっちゃり体型だったらしいけど、それが理由で今みたいにいじめられていることなんてなかったとのこと。


「地味で暗い性格なのは変わりなかったから友達と呼べる人はいなかったけど、一人でも全然平気だったし毎日静かに過ごしてたんだ。その頃は清水さんも今みたいな感じじゃなくて、もっと優しかったっていうか……。でもね……」


「うん……」


そろそろ、“きっかけ”を話してくれるのだろう。


美空の表情が険しくなっていくのが、横顔からでもわかった。


「テストが近くなってきてたある日、内申点が危ないから良い点を取りたいとかで清水さんが私に勉強を教えて欲しいって言ってきたの」


あの清水さんが人に物を頼んでくるとは、少しも想像ができない。ましてや美空になんて。


それほど、中学の時はもう少しマシな性格をしてたということなのかな。


「もちろんOKして、その日の放課後教室で一緒に勉強することになったんだ。そのあと、清水さんを変えてしまった出来事が起きたの」


放課後、誰もいなくなった教室で、美空の席の隣に清水さんが座り、テスト範囲でわからないところを教えている時。
一人の男子生徒がやってきた。